実は引越しのばたばたもあって、恐ろしいことに私はHDDにイェテボリワールドの録画分を乗っけたまま今の家に来たのですが、その後ダンナさんのデッキも2台あったので、つなげていなかったんですね。でも先週の日曜日にようやくスケートシーズン対策につないだところで、あのイェテボリの男子の演技をチョコチョコ見ていたんです。

あのときのステファン、戦っていたなあ・・・とフラメンコを見ながら思いました。
ショートの時も、フリーのときも、妙に鮮明に画面に出ていた表情を覚えているんですが、心底戦っているように見えた。

世間的には、前年のモチベーションの問題が衝撃のせいか印象的なトピックスになっているだろうけど、どちらかといえば、あちこち痛くしているなあ・・・あれほどハードなジャンプやスピンをしながら、あれだけダメージを受けた体で大丈夫なのかしら・・・と、どこかでずっと心配していたので、体の状態が彼を競技から遠ざけたと思うと、なんだかやはり悔しい気持になる。

ジェフが背中の疲労骨折で07-08のGPFをスキップせざるをえなかったときも、本当は心のどこかでもう戻ってこれないのでは・・・という底のない不安があったけれど、結果的に彼は乗り越えて、東京に来てくれて、翌年も戦って世界の一等高いところに立って輝いた。

あのアララトをあらためて見ていて、本当に綺麗だなあ・・・とただただ見惚れ、そうしたら思いがけず涙も出てきました。急に淋しくなったようで。

でもあの後、同じように体のことだけが心配で仕方なかった。

この採点方式の中で、ジェフもステファンも限りない想像(創造)の世界を広げていってくれた。そしてMAXまで努力をして、技術も見せてくれた。二人とも、この採点方式でよく戦った。

同じくして初めての世界選手権の表彰台に上って、同じトリノでまた一緒に上って・・・。
引退するのも同じになってしまった。

きっとこの秋の出来事は、「戦士」がふるさとへ帰るようなことなのだよね。
そう思って、急に腑に落ちたようになって。

私は長いこと、4回転が恐ろしいと感じている人なのだけど、それは今も変わらない。
人間が極限で戦わねばならぬほかに、競技は出来ぬものかと、不安とともにずっと思っているのです。だけど挑んでいく人の気持をわかりもする。

またそのジレンマとともにこの秋から雪解けの時期まで、見守っていくのでしょうね・・・。