you good luck.

先日新体操イオンカップアンナ・ベッソノワを見て涙をしました。

彼女は北京五輪では技が思うように採点されず、つい涙したその際、会場の観客の声に励まされ、彼らのために最後のリボンの演技を舞おうと気持を切り替えたのです。

動画で見れたに過ぎませんが、それは会場の観客も実況のキャスターも、皆が興奮するような楽しく、美しい演技でした。終わった後には晴れやかな笑顔、そして彼女をキャスターは「真のチャンピオン」と呼んでしまうほど。銅メダルではありましたが採点を超えた観客の評価がそこにありました。

イオンカップの彼女の演技は、どこまでも喜びに満ちて、東京体育館の観客たちをまたも興奮に陥れたのです。2位ではありましたが、観客と競技者が一体となる演技を彼女はしました。競技の緊張の場において、それを超えた夢を見てしまった観客。

私は採点競技というものに、どこか感情的なラインでタッチしてしまう性質なんでしょう。

アンナ・ベッソノワが観客に輝く笑顔を振りまくのを画面越しに見ながら、二人のスケーターのことを、それからトリノの表彰台を思い出していました。

あのときから私の止まっていたスケートの夢は、再び針を動かし時を刻み始めたのです。
そして台の両端に立っていた二人は、私にとっては最高のスケーターであり続けました。もちろん今も。

あれから2年もたった、とも思えるし、わずか2年、とも思うけれども、この秋、二人ともフィールドから去ることになりました。

アンナさんを見ながら、ステファンがもう一度、戦いの氷の上でああいう笑顔ができるように願いました。先に去ったジェフは、3月のイェテボリで、顔からはみ出るほどの笑顔を見せてもらいました。競技を去りはしましたが、選手として充分に幸せな気持で終えられたことはファンにとってどれほど喜びであったか。そしてカルガリーワールド以降、さまざまな局面で深刻な壁を懸命に越えたステファンに、とっておきのご褒美があるように願っていたのです。

私は今も彼はワールドチャンピオンにふさわしいし、五輪の金メダルにも適う人だと思っています。

思えば2007年3月の東京世界選手権、ジェフリー・バトルもステファン・ランビエルも来ることだって難しい状況だった中、二人ともケガやメンタルの壁を乗り越えて、私たちの目の前にやってきてくれた。二人のあの素晴らしい演技を、一生忘れたりしないと思います。あれは現実となった夢でした。

ステファンに、お疲れ様とは言わずにおきます。
なにかちょっと、それが不似合いのように思うのです・・・。トリノで夢を追って羽ばたくシマウマがいましたね。これからは本当に、空を飛ぶような自由を手にするのですから。

そんな空元気だって、元気のもとになるんだから、ね。

でもいま、2年前のNHK杯のときの気持を思い出しましたよ。

あのときはホットミルクだったけど、今回はないから・・・これを。