一人ひとりを見る幸せ

鈴木さん以外にも、3日間通して沢山の選手を見られたことは本当に幸せなことでした。
そして、普段画面を覗くだけだと、スイッチされていくカメラのために感覚が勝手に整理されていき、その人がどれほど頑張っているのか息遣いを感じることはも来ないんだということを、改めて実感させられました。
ペアの競技では、デュベ&デイヴィソンの不調は残念でした。FSのカルメンは特に、スピンでは一度二人のリズムが離れても一生懸命戻していたのに、途中で明らかに失敗に気持が負けてしまったのが見えて切なかったです。だけど2007年の四大陸選手権での事故や、カナダチャンピオンのタイトルを失ったあとの世界選手権での表彰台といったように、難しい局面を超えて力を出すことの出来る強さもあるペアだと思うので、期待してます。
変わって井上&ボルドウィンはこれぞペア!という美しいユニゾンを見せてもらいました。ことにSPのスローな曲、二人の競技PGでは珍しい気もしますが、綺麗にそろった動きの数々にたまらずスタオベ!ことに若いペアが多かったせいか、動きがそろわず、リフトはやや不安定、滑りのスピードもなく・・・という組が続いていたので、大技でのスペクタクル以上にユニゾンが大事だ!と満足できたものです。
GALAではCOIで演じた白鳥の湖が見たかったのですが、二人の愛全開!もお約束でしたね、そうでしたね。
パン&トンはトン君のアキレス腱負傷を聞いていたこともあって、無理はしないでほしいなあという気持ちがあったのですが、思った以上に元気でしたね。ジャンプの失敗なんかはありましたが、徐々に表現力がついてきたうえに、彼らならではのやさしいムードも垣間見えるようになりました。でも衣装はもう少し色使い頑張ろう!というのと・・・FSの曲つなぎが残念すぎる〜〜!モロゾフ氏作とわかっていたので、「また!」という感じでありましたが、最初のタンゴだけかアランフェスだけにしぼったほうがよかったよー。タンゴのほうはなかなか振付でもムードを出していただけにもったいない。それでロクサーヌは全然いらなかった(涙)
GALAではもうアダージョは無しだよ・・・と祈っていたところ、素敵なサマータイムを演じてくれたのでとってもよかったのですが、アンコールで「ポニョ」を流したときは笑いながらうれしく思いました。いや、笑うツボだったのですが、なんと不器用な二人なのか、淡々とリフトしたりツイストしたりにお腹くすぐったかったです。サービスありがとう。インタビューでもファンの応援に対する誠実な言葉が印象的でした。
あとものすごーく印象的だったのがトロンブリー&イバラ組で、若いペアのようですが、男性がスピンなどで「ハイ!」「ハイ!」とひときわ大きな声をかけておりました。リフトなどはお体ががっしりしているにもかかわらず手が震えていたりして、ちょっと怖かったのですが、あれって力だけじゃないんですね。やっぱりスムースな滑りの上でやらないといけないわけですね。

男子は第一グループの選手はなかなかジャンプも決まらず苦労していましたけれど、それでも各選手個性があってよかったです。
ウクライナのアントン・コバレフスキーは東京ワールド以来でしたけれど、なんだか上手くなってない?と思いながら見てました。ジャンプはちょっと大分うーんな感じでしたが、振付は力を入れるべきところで思い切りよく入れたり体を伸ばしたりと、ものすごく頑張ってましたね。そのせいかフリーでは励ましの拍手があったと思います。ただコンボ4回目跳んだときは残念でした。あれがなければ100点いったんじゃないかしら・・・。それからSPのあと、得点のアナウンスが国名をロシアといってしまって気の毒でした。あの、間違え方によっては本当にそういうミス、大変なことになりますので・・・今後ないよう祈ります。
ジャマル君は振付の部分は体が綺麗なんだけど、なぜかつなぎの滑ってるところがちょっと姿勢悪くなっちゃう。あとスケートが少し荒いのが目立っちゃうかな・・・。振付が綺麗な印象は残っていますが、あんまり調子よくないのか、スピンなども少し体が遠心力に負けている気もしました。スイス国内選がすぐだけど、頑張れ!
ケビン・レイノルズはなんだかちっちゃくてお人形さんのように見えてしまう・・・。SPの太鼓の音にあわせて腕を上下するところなんて、あんまりにも可愛らしくて。彼のジャンプは跳んだと思ったら本当にあっという間に終わるんです。豪快さはないけどすごい子ですよね〜。それに見た目の倍、体力があるみたいで、最後までスピードが落ちなかった。回転怪しげな箇所は何個かありましたが、全体通してよく動いてました。この子は絶対いつか怖い存在になるのでは・・・?GALAでは意外に踊れることがわかってびっくり。やっぱりカナダっ子なのね!
シュルタイス君。PCSはあんまりでないでしょうけど、前衛的なことをやっても全く違和感ないし、この路線が似合いすぎてますね。いっそクラッシックもあの独特な動きを入れてやってほしい。腰を落として背を傾けるイーグルはみんな歓声上げてましたね。キスクラでそっくりなシュルタイス人形をもってましたが、コーチが人形と本人の頭を交互でなでているとき、物静かで柔らかい微笑を見せることがちょっとしたツボでした。体力つけてくださいね。
ポンセロえらかった!の一言に尽きますよね!なにはともあれ、これまでもメダルを取るべきだった人だもの。しかしSPの衣装・・・もうすこし何かないのかな。でもあの野暮ったさが逆にいいのかな?どこかの「僕イケメン」みたいなのりだしね。
キャリエール君。SPがジャンプも表現もまずまずだっただけに、FSはファイアーバードのよさが出ておらず、全体に不調だったのは残念。でもまだ若いから、これからいくらでも台風の目になるんでしょうね。お衣装は曖昧色を2つそろえましたが、もうすこしコテコテ綺麗目でもよろしいかと・・・。
ジョニーはいわずもがな素敵でした。ひどい風邪のようだったし、実際顔が真っ赤だったので心配のほうが大きかったですが、プログラムを素敵に仕上げてきてくれました!ジョニーがこの大会にいるのといないのとでは、まったく感想が変わってしまったと思う。フリー中盤のスローパートは涙が出るほど美しかった・・・。途中で真剣に体力が切れてきている感じがありましたが、最後までプログラム完結させる強さはもう安定してますね。
倒れそうだったといえば南里君、2ヶ月で4戦という強行スケジュールで大変だったでしょう・・・。FSは本気で倒れるんじゃないかとハラハラドキドキでした。それにSPでダブルになった3Aを跳んできました。2つ目はちょっと回転不足かと思いますが、ステップは息できてないんじゃ?と見える中、「頑張って踏まねば〜」というところがよかったです。東京在住でなく、海外といっても福岡にも戻らなければ行かない世界の旅を繰り返して、この大会に来て粘りに粘ったこと、次に生かしてください。
織田君は以前にもましてひざの柔らか〜いクッションが効いていたのがすごかった!さすがに全体硬い演技でしたが、表現も丁寧になって一皮剥けた感じがありました。そしてコーチ・モロゾフはやっぱり面白いです。SPではちょうど席の下がリンクの入口だったのでモロゾフさんがよく見えたのだけど、蟹股になって一生懸命応援し、戻ってきた織田君の頬にこれでもか!と自分のほっぺたを摺り寄せていたのは当分記憶に残りそうです。

ひとまずここまで・・・。