表彰台は遠かった?

ジョアニーのGPFは、ショートで久々の大爆発を見せてしまったわけですが、今季彼女はSPでミスが毎回あるので、ちょっと覚悟してました。3-3への力みなんでしょうけどね。フリー、全体としてはすごく素敵なアランフェスになったとは思うのですが、初端の3連続をミスしてしまったのはかなり惜しかったかなあ。でもそのあと、SPとは違い、気持を切り替えていい流れの中で演技の印象を盛り返しましたから、終わった後はジーンと余韻に浸れもしました。

だんだんと「アランフェスは彼女の代表作になるんじゃないかしら」と思えてきました。06-07,07-08の2シーズンのFSをドン・ファンで通したことが、アランフェスに全部繋がってきているように見えます。あのPGでフラメンコのしぐさを入れたり、ジャンプシークエンスにチャレンジして培ってきたことが、アランフェスのPGの中で昇華されつつあり、見ていてうれしくなります。洒落たつなぎは入るけれども、懲りすぎて曲の世界を損なうようなこともなく、女性のもつ魅力・・・強さ・儚さ・優しさ・逞しさ、全部がエッセンスとして盛り込まれたようです。女性のアランフェスというと、どうしても昨年の全日本での太田さんを思い浮かべるのですが、対照的なぐらい異なる二人の個性で、全く違う印象の演技にもかかわらず、同様のことを感じ取っております。男性のアランフェスほど哀愁に偏ることなく、人生賛歌のようだといったら大げさでしょうか。
3Tから3Sのシークエンスは素晴らしかった。2A〜2AのSeqは他のコンビネーションに変えて、PG後半のもっと早めに差し込んでもいいような感じがしてもいたのですが、あえてあそこでチャレンジしてくることがインパクトあって、成功すればプログラムの最後に向かってぎゅっと印象が締まって格好いいです。
スパイラルはジョアニーが美しくて泣きそうでした。スピードもあるし、いつも彼女の見せ場はここじゃないかしら、と思っちゃうんですよね。

表彰台には届かなかった。カナダにとってはパトリックといい、残念な大会かもしれないけれど、ジョアニーには「もう少し頑張りなさい」という思し召しでもあるのかも。世界選手権でチャージをトップに持っていければいい、そう思います。