続・Stars on Ice in Tokyo

前日のエントリーにジェフ・ステファンの感想を追加してます。
さてさて。すでに時を逸した印象がありますけど。
今回はかなり競技者とプロスケーターのPGに違いを感じ、私の中ではプロ達に軍配。勢いや派手さはもちろん若手競技者にあるんですけど、On the edgeというテーマ、あのブレードの上の人生を思うと、今回出会えたプロ達に競技者の未来を感じました。


印象に残ったところを少し・・・。

安藤さんのボレロ、個人的にはボーカルなしの方がいいなあ。彼女はこの大きなリズム感がすごくあっていると思う。動きがかなり整理されているのもいい。けして調子がいいわけではなさそうだったけれど、彼女は自分のやりたい方向に櫂をこぎ出していることが何となく感じられました。

トッドさん登場の前には、昨年のSOIのグループナンバーだった「伝説のロックバンド」ハード・スティールのアクセル・エッジbyジョン・ジマーマンが、ハード・スティールだよ〜〜、次は僕の友達トッド!みたいな紹介をするんですが、これってわかる人にしかわからないよ〜〜と一人大受けしてました。だって横一列のみなさんが何となく引いているんだもん(笑 おまけにトッドさんはこの流れで楽しいPGでもやるのかと思ったら、いつもの端正なムードだったから困ります!
でもトッドさん、輝いてましたね・・・一切の抵抗を感じない絹のスケートとまっすぐの芯できれいなスピン。茶の葉がほどよく発酵した芳しさをイメージする演技。

ところでトッドさん、そのお友達ジマーマンのソロが終わった後にジェニファー・ロビンソンと一緒に出てきて、タオルを出してあげるんですけど、汗がにおうからあんまり拭くなよとかこちらもサービストークでした。タオルは観客プレゼント。

その後の佐藤有香さん&マイケル・ワイス&ジョン・ジマーマンのトリオ"The Dance"が美しくて吸い込まれました。夜露の竜胆を見守るかのようなムードでした。

そのあとサーシャ・コーエンが孵化したばかりの蝶のような柔らかに透ける羽をつけてリンクをふわふわ〜っと舞いました。非常に幻想的。それが次に登場するマリパトさんのオーヴァーチュアのようになりました。

マリー・フランス・デュブレイユ&パトリス・ローゾン、初日はジャズの香がする退廃的なPG。宵の口のムードを常に携えて、それがぜんぜん嫌らしくない洒脱さがいつ見ても素敵。2日目のU2"Desire"は打って変わって小気味いいロックなんですが、相も変わらず空中遊泳の連続リフトがすごい。軽やかにつなぎ目を感じることなくやるからもう快感。アリーナでわあわあ言いつつ見たかった。

武史君は一青窈ハナミズキのEric Martin版。アランフェスのような赤い衣装。このプログラムはシンプルなのに素晴らしかったの・・・派手な仕草一つないけど、あの手先の気持ちの込め方にはやっぱり泣けてしまう。ふっと目を氷に落として滑りのまま静かに流れ・・・かと思えば空を見上げるように・・・。もともと叙情的なスケーターであったけれど、それに透明度がどんどん増している感じがします。

そしてグループナンバー。Sock Him in the Jaw・・・これタイトル見たら物騒ですね。小粋でキュートで最高のショーナンバー。マイケル・ワイスがリーダーになって、みんなでそろいの動きをしたりするんだけど、衣装はボーダーのベストとシャツ、グレーのパンツにキャスケット。可愛らしいことこの上なし。誰が誰やらわからないけど、サーシャとクーリックだけは動きで何となくわかるし、宏博さんが頑張れ〜〜な感じでした^^。2日目に一緒に行った友達が、パンフレットのジェフのインタビューにあるワイスの紹介が「このスポーツにあり得ない技」がなんなのか気になったらしいのですが、ここでご披露!バックフリップやフリーダムブレードで大活躍。

それから男性陣がボン・ジョヴィでワイルドなグループナンバー。うわ〜〜^^、みんなかっこいい!動きは切れてるし、ジマーマンさんがワイスさんを頭の上で回したり、ローゾンさんがトッドさんをリフトしたりとすごいサービスだらけ。クーリックさんはかっこいいしジェフは西側でこれでもかという笑顔で盛り上げまくる。すごかった。

雪さん&宏博さんは1日目は王道・ボチェッリの歌でしっとり、でもすごいのは2日目、アフロのヘアウィッグを雪さんがつけるのもびっくりだけど、あんなにコケティッシュなムードで踊るなんてびっくり。さらに宏博さんもパントマイムのような動きがあって、なんだかかわいい。でも技術はすごいの・・・流れるようにどんどん技が繰り広げられていく。貫禄。宏博さん、群舞もかなり頑張ってました(笑

有香さんのPGは2日目の"1234"がとってもかわいくて凝ったものでした。このPGだったかなあ。スパイラルをされたんですけど、エッジの深さにびっくり。ぞくっとしました。それでジェフのと同様、この曲もリズムの中でずっと滑っているところがない。どんどん動きを変えていくんですけど、それがまったく不自然ではないから実はすごいと思うんです。いかにもさらっと軽くこなす有香さんにまたびっくり。すごい人だ・・・。
有香さん、ワイスのPGのあと、毎回小芝居入れてくださった(笑 1日目は「あなたってばなんてセクシーなの・・・Good Job」な感じでしたか?2日目は「あなたってばなんて素敵なの・・・あたしを泣かせたわね・・・」な演技でした。ワイスの汗を拭いてあげて、また観客にプレゼント。この日本公演のために本当に大活躍ありがとうございました!

そしてイリヤ・クーリック。群舞にいても美しさは際だってました。ジャンプはきれいで滑りも本当によく伸びて・・・。2日目のSong for the Kingは正統派美男子プログラム。彼が風を作って、たなびく衣装。こんなにきれいなスケーターだったなんて、本当にお会いできてうれしかったです。

荒川さんはいつ何時でも必ず見て満足できるスケート。完璧に意識されたポーズの美しさは本当に飽きが来ません。

今回はダンナ放置で2日の贅沢になんとなく後ろめたさがあったのですが、でも良かった・・・☆どうやら私は相当楽しそうな顔で家に帰ったらしくて、寛大なる相方殿はただ苦笑しておりました。

マチュア選手の皆さんは、練習の合間にいい演技を見せてくれてありがとうございました。そしてSOIメンバー&ゲストの皆さん、1公演で何役もこなすタフなショーにもかかわらず、何れ劣らぬ冴えた演技に感謝!是非また来年お会いできますように・・・!!

そうそう、友人が教えてくれたのですが、公演終了してスケーター達がアンコールでもう一度登場した時流れていたのはエアロスミスのLivin' On The Edgeだったそうです。まさに彼らはエッジで生きている。