Stars On Ice Japan Tour 2009 in Tokyo ・・・ちょこちょこ書き足しつつ。

ということで・・・遅ればせながら、落ち着いたところで楽しかった2日間を振り返りたいと思います。


今回は引退したジェフとステファンのスケートを見るということに不思議な感覚があったのですが、自由のもとでどんなスケートを見せてくれるかワクワクしてもいました。
それから同時に、憧れのSOIを見られることにも興奮。しかもイリヤ・クーリックやトッド・エルドリッジがこの目の前に現れるんだと思ったら・・・夢を生で見られる幸せに包まれて代々木に足を運びました。

最初にまずジェフのこと。
私がジェフのスケートをこの目で見るのはなんと2007年の東京ワールド以来。昨年夏の名古屋ショーの時は友人の結婚式とぶつかっていて行けなかったのですね・・・。でも今日は彼のスケートを心からリラックスして楽しみたい、そう思っていました。
演技の前には録音された彼自身のナレーションがあって、あらうれしい。
でも後でお友達に何をしゃべっていたか教えてーと聞かれたとき、思い出せなかった(笑
競技は制約あったけどショーでは自由とか・・・そんなこと?以前にも聞いたような言葉だったからあまり記憶しようとしなかった(薄情?)。

17日は"Eclogue"。
あまりしっかり見ようとすると楽しめないと思って、動きをいちいち記憶しようとせずにいたんですね。
でもね・・・本当に、見ているうちにふうっと涙が出てきたんです。
これが何の感情なのか、よくわからない・・・静かに浮かんだ涙なんだけど、同時に気持ちが温かくなり、何ともいえない幸福感に包まれたんですよ。
氷の上にあるジェフはいつも見てきたように、スムースで体いっぱい使って音を表現していました。滞ることのない一連の流れ。静かな音符の波。雨の後、湿った空気のひんやり感と、差す陽の和らぎ、その中で甘受する平穏な幸せと同じようなものを感じました。

アリーナならではのこと、彼の表情はなんて自然で豊かなものなんだろう、とも思いました。

誰にでもわかりやすいPGではないし、それこそ彼の真骨頂。
いろんな思いを無にして、向かい合ってこそ染みこんでくるような、分子の細かいものなんだなあ。
なんていうか、ジェフのスケートを見る時って、それまで持っていたイメージは捨ててみる方がみずみずしく感じられるってことも今回習得しました。
この日のEclogueは、自由な世界に降り立ったジェフだけのものだったと思います。
競技でこれを見たかったか?という自問もちらと浮かびましたけど・・・すぐに忘れました。すべては彼の心のままに
またこのPGに出会えるかしら?いつかまたね。

さて翌日は"Canned Heat"。
この日は北の2Fスタンドで東よりでしたが、全体が見えるながらもさすがにショーの照明だと目が悪いワタクシにはちょこっとつらかった。コンタクトはあまり強めに作ってないので。
とはいえ、このノリPGでどんだけ彼が動きよくしかもばしっと音に合わせて振り付けやってるかがわかり、すごい〜と感嘆してました。
リズム早いし細かいじゃないですか。でもおもしろいくらいに体のあちこち使って表現するのね!しかも滑りのスピードに乗って見せるようには作ってないわけですから、あれだけめまぐるしく動きつつ手も足も腰も背中も首も使って合間にジャンプしてターンしてスピン回ってウインドミルして屈んで起きて跳んではねてってやるのはものすごーくハードなんだろうなーと思ってるそばからぴょんぴょんと・・・きらきら星を振りまきつつ。すごかった〜。

とにかく、彼が全身のあらゆる場所を使う人だってことを再確認した次第です。
おまけにエッジが音刻み激しいながらも丸いっていうのを思いっきり堪能しました。つくづくマニアックな部分を刺激するスケーターだわ。

さてステファン。

ステファンも自己紹介してましたね。でこっちも聞き流してましたからあまり覚えてないけど情熱を分け合いたいとかみんなと共感しあいたいとかそんな感じだったか・・・なんかジェフのとちょっとごっちゃになってます。

17日はロミオとジュリエットニーノ・ロータ作曲の映画音楽にジョシュが歌ったおなじみのあれですが、なぜかプロコフィエフのロミジュリと演目表に書いてある。一瞬最近の日本では「お父さんのテーマ」として想像されるあの部分を頭に浮かべてステファンを滑らすけれども似合わないなー。

それはそうと、ロミオとジュリエットは大変良かったです。久しぶりに見たけれど、これはいつ見てもいいなあ。
これ見ると、何をしようと言おうと、少年のようにロマンチストだからこそこんな愛おしい世界が紡げるんだろうなってつくづく思います。
で、やはりこの人も体のあらゆるところを用いて表現する。
これは本人が作ったのか作ってもらったか忘れちゃったけど、誰が振り付けしたかなんていうことを考えることもしなくていい。これは彼のPGだ。
どこか奔放で自由なステファンのエスプレッソがドッピオで効いているの。

なんだかジミーにシャツが違ったような気がするんだけど。薄地になったって感じなんだけどどうだったろう?

翌日はピアソラブエノスアイレスの秋。うふふ。かっこいいねえこれ。
一部にはサラリーマンに見えるらしいお衣装ですけど笑、2Fから見ても燃えるような紅葉でちょっと近づいてみたかったなあ。

手を振り足を払うと香る。体と首を反らしてみせると弦のうなりそのもの。
けして滑らかなとかスピード感のあるようなスケーターではないのです。でもあの体の使い方や自在のステップを見ていると本当にヤラレタって思います。

この日は4Tに行こうとしたかな・・・というようなところもあったんだけど、いずれ彼の中でも何かが平らになっていくのか、波のまにまに漂うように揺れるかは、わからない。
心がまだ痛むファンの人にとってはひょっとしたら切ないことかもしれない。罪だなあ。でもそれは惚れたが最後のことで、彼には何の義務も責任もないことなんだよね。

これもまた、彼の歩むままに。
ファンの胸の痛みも、いつか海に洗い流されますように。


さてさて。
新人君二人、実は公演の盛り上げ特攻隊でもあった。
Hiromi Goが歌う国鉄最後のキャンペーンソングであるアイドル歌謡をバックに、ヘリコプター隊のような騒々しさでリンクを縦横無尽に駆け回った。
で、シークレット扱いらしくて、演目表には載っておりません。だから「キャー」は結構なボリューム。しかし海外の人にはこのメロディはどう聞こえるのやら。

仲良し二人組はどこまで振り付けしてもらったんだかわからないけど、あっちで跳ねこっちで回りの息が合うこと。キレキレぶりも好ましい。

でもねえこの曲。私は聞く度一つの記憶がよみがえるのですよ。
まだ若き女子校生徒であった時代、我が母校は体育祭にて組別対抗応援マスゲーム合戦があったんです。ある年、どこかの組がこの2億4千万の瞳で踊ったんですよ。うら若き乙女全員がHiromi Goのごとき黒い眉毛を太〜く描いて。それで「エキゾチック・ジャパ〜ン」のところで全員歌いながら振り向くんですね。腰に手を当てて。ばかばかしさに大笑いしましたけど、あれ以来曲を聴くともう、あのお腹くすぐったくなる記憶しかないんだ。だから二人が踊っているのも変な記憶とミックスされたおかしさがあって、笑い泣きしそうだった。

ちなみにあの年、うちのクラスはB'zのBAD COMMUNICATIONで激しく踊る高度なプログラムで、私は貧血になりかけた。あのときから私は若くなかったなあ。

さて、続きはまた明日・・・?