転んだって輝ける。

ジェフリー・バトルのファンですから、あのトリノのこけたあとの素晴らしいスケートを良く覚えてるんです。

こけたから何?素晴らしい神話の世界がそこにあるじゃないって。まさにサムソンだよ、っていう感動。
彼のクローズアップされた目元はクマがこびりつき、頬もこけていてさも不健康そうだったのに、演技はなんて瑞々しく健康的であったか。

今回の大輔くんは、さすがにそこまでパワーはなかったけどね。
クワドの転倒で結構体力消耗したかもしれないし、最終滑走だったし。
スケートが良く滑ってるんだけど、そのうちそのつるつる滑るのに上半身がついていかなくなってしまったような印象でしょうか。
スピードががっくり落ちちゃった。

でもこの人、希望に燃えてるんだなあと思わされました。
この人、前を向いてるだけじゃなくって、一歩一歩をかみ締めている。
足元にある地熱の熱ささえ、吸収してやろうってなもんです。

いいね。凄く濃厚な時間の使い方をして。
この段で、失敗を恐れなかった彼は、表彰台以上のものを獲得していたのは間違いないんです。

もうひとり、ジェレミーもそうだと思う。
彼、私の印象では先シーズンだってそんなに2本そろえて来れないのね。
でも瞳がランランと輝くとき、ジェレミーが素晴らしい引力を発揮できる証。

クワドでこけたし、3Aも1本どまりですけど、流れがスムーズでした。
澱みないから、澄んでいる。
とにかくプログラムが美しくて。でもそれはただ作品の良さだけじゃなく、本人が気持ちを乗せたからなんでしょう。
それで、スケートが前より更にキレてるというか、とにかく今年は彼の滑りがすっごくステキだと思ってるんです。
不調だと勢いがなくなっちゃうのが惜しいとこだけど。

しかし華やかで美しく陰鬱なPGです。
でもまた衣装が〜〜〜(泣)

よもやまさかの毎回違う衣装?? そんなのタトゥーほしがってる場合じゃないし。

さて、安藤さんと織田君は、まずはバンクーバチケットおめでとうなんだけど、演技そのものはなんとなくちょっと残念にも思えます。
やっぱり守りに入るというのは、気持ち天然の潤みをなくしちゃうというか・・・。
それでも全体的に好調を維持できるのは悪いことではないんですけどね。若いコーチのわりにはああいうところは妙に老けてるのね、彼。そういうのは、いいでも悪いでもないけども。

美姫ちゃんに関しては、やっぱり消極的にいったものの分だけ、オリンピックはつかんだけど今回のゴールドを逃すことにはなったんだと思います。
さて、これをいつ爆発させるんでしょう。
いつその守りを解除するのか、です。あるいは守りの内容に見えて、攻めることが出来るか。
せっかくあそこまでの演技が出来るようにはなったんだからね。

オン・ユア・マークでピストルを聞き逃さないように・・・。